2.禁じられた知 A.ミラー著 / 山下公子訳 (新曜社)

 まえがきで、著者アリス・ミラーはこの本をフロイトに捧げると言っています。
著者はフロイトに学び、そこをスタートとして、最終的にフロイトと対立する側に至りました。
フロイト以来、精神分析を支配してきた「幼児性欲」の概念を捨て、実体験から得たものに忠実に、持論を述べています。
「魂の殺人」に比べ、より専門的になり、私には少し難しかった記憶があります。
 後半、著者はカフカの文学と彼の苦悩を解説します。
『この作家が自分でも知らぬまま自分の子供時代を作品の中で語っているのをお見せする』という言葉通り、精神分析家から見た「文学者カフカ論」は興味深いものがありました。