3.なぜいつも、あなたの恋愛はうまくいかないのか
 
ジャネット G. ウォィテイツ著 / 新沢ひろ子訳 (学陽書房)

 私が「アダルトチルドレン」と言う言葉の意味を初めて正確に理解した本です。
「機能不全家族」という用語もこの本で初めて出会いました。
「アダルトチルドレン」という概念も、「機能不全家族」という概念も、イエスかノーか、○か×かではなく、完璧な親なんて何処にもいないのと同様、すべての子供達はアダルトチャイルドであり、すべての家族は機能不全であるという観点からスタートしています。
どこから何処までがこちら側で、ここから向こうはあちら側、そういうことではないのです。
機能不全の度合いはどれくらいだったのか。それによってアダルトチャイルド度も違うのだ・・・ということです。
しかも、ここで言う度合いは、あくまでも学術的な目安であり、我々子供達は自分だけの物差しをそれぞれ持っていて良いと思うのです。そして、何より大切なことは、その物差しで他人の苦しみを測らないことだと思うのです。
そう考えるようにしてから、「私のように幸せに育った人間が、心の傷云々と声を上げること自体申し訳ない」という私の足かせになっていた思いこみを取り払ってくれました。そして、この「私なんかが」という発想自体ACの『神話』の一つだと知りました。
 この本では、日常的な出来事を例に上げ、アダルトチルドレンが陥る間違った感じ方や行動、そしてその理由を具体的に説明しています。
そして、否定的なものの感じ方をするアダルトチルドレンの、間違った『神話』は、どのような裏の『感情』(恐怖)によって起こるか。
また、『真実』とはどういうことなのかを解きほぐしていきます。
例えば、
無防備であることは常に否定的な結果をもたらす』というACの神話があります。
もちろんこれは間違っています。しかし、確かに私はこういう考え方をします。
その結果、人に心を開くことがとても難しく、きっととても『人』が好きで寂しがり屋なのに、それなのに『人』とともに安らぐことが出来ないジレンマに陥ります。    
この神話はどうして出来上がったのか。以下引用です。
子どもの頃、あなたは自分を幸福に出来るのは自分だけであり、他の人に期待してはいけない事、そして他の人にどんなひどいことをされても、怒りを感じないようにすることを学んだ。あなたは、感情というものは、感じまいと思えば感じないで済むことを学んだ。これはあなたが機能不全の家族で感情をめちゃめちゃにされないためには絶対に必要なことだった。だがいまあなたは、もし幸福ないい恋愛をしたいのなら、相手に自分の感情を解放しなければならない。
私は、家庭の中で生命の危機にさらされるような環境にはいませんでしたが、肉体的な虐待を受けた子ども達の中にはこのような神話も、ずっとずっと頑ななものとして身に付いていることでしょう。はずしたくても決してはずすことの出来ないバリアです。
このバリアのせいで、冷たい人、つき合いにくい人、と誤解されてしまうこともたくさんあるはずです。
こうして、助けを求めて寂しがっている心とは裏腹な自分を演じ続けることになります。
それがACの『生きにくさ』のひとつの正体です。